レストランのウェイターさんの笑顔に癒されたことがあった。-私の怒りと肌模様-
その笑顔が何度も見たかった。マスクをしていて目しか見えなかったけど、優しそうな笑顔に見えたのだ。
どうしてあの笑顔を思い出すのか、ただただ答えが欲しくて数日考えている。
とにかく。
彼のマスク越しの笑顔が私の心を揺さぶった。
今まで私の心を揺さぶってきたものとは一体なんだろう、と思い返す。
まず、最初に思い出すのが1997年、私が17歳の時に出会ったDeep Forestの「Madazulu 」
この26年間で一番多く聞いた曲。この曲を超えるものにまだ出会っていない。
マダガスカル現地で録音したものをサンプリングして演奏されたもので、一時期私はマダガスカルに憧れを持っていた。数年前マダガスカル人と少しだけオンラインで話す機会があって、なんだかとても感動した。
20歳ぐらいの頃に購入した「ともだち Dear Friend」という写真集は今でもお気に入りで、戦地で育った子供たちの目の輝きを見るたびに何か思うところがある。
何度も引っ越して大量の本を処分してきたけど、この本だけはずっとキープしている。あまり写真集を買うことがないから、自分的にはとてもめずらしい。
同じ時期にピューリッツァー賞の本に載っていた、フラフープをしているロシアの男の子の写真もとても気に入っている。その子の笑顔が印象的で、20年以上経った今でも目に焼き付いて離れない。
「世界の果ての通学路」というドキュメンタリーもお気に入り。
世界中の異なる国々で暮らす子供たちの通学路や日常生活を見せてくれた。特にアフリカの通学路は美しい。
私にしてはめずらしく、何度も繰り返し観ている映像作品。数年前にNetflixをやめてからは一度も観てないけど、また何度でも観たい。
そして、最近観た「Human」
世界中のさまざまな人々の人生や経験、喜びや苦しみについて語られた作品。インタビュー映像が驚くほど美しい。
一人目の話が衝撃的で一気に引き込まれ、何度も何度も涙を流した。
ここ数年で一番心を揺さぶった作品はコレ。人間の美しさ、世界の問題、文化の違い、命の尊さ、とかがぶわーっと自分の中に入り込んできて、色々な感情を感じる作品だった。
これをYouTubeで見せてくれるのだから素晴らしい。
英語字幕があるから、英語が読める人は是非観て欲しいと思う。本当は日本人全員に見てもらいたいぐらい。本当に本当に美しい作品。
私が思い出すそのウェイターさんは、人と話していない時は本当につまらなそうな顔をしていた。仕事だるいなー、みたいなものが彼の動きから見てとれた。それなのに、彼は私と目が合うと笑顔になったのだ。(実際のところはわからないけど)その笑顔が作りものではなく本当に純粋な笑顔に見えた。
日本人の接客は本当に優秀だけど全部作り物に思える。 人と話していない時は真顔でつまらなそうな顔をしてるけど、話し始めたら笑顔になる。そういう人間らしいものを見るのが好きなんだと思う。
彼のその笑顔を見てから、私の心持ちが少し変わったのは確かで。ドキュメンタリーとか何かの作品を観なくても、こういう些細なことで心が揺さぶられ、私の考えや価値観に変化があるのかと思うと、日々の生活がとても愛おしい。
二度と会わないであろう、その彼の笑顔を忘れないようにしたい。